イン・ザ・メガチャーチを読んだのですが、読み終わった感想としては 読まない人生の方がよかったなということです。早く記憶を消したいけど、一方で何か言ってやろうみたいな気にもさせられたので悔し紛れにブログを書く。
この小説、まずページを開いて章タイトルが登場人物名なのが早速しんどくて半笑いになってしまった。わたしは朝井リョウの小説を読んだことなくて、桐島、部活やめるってよと何者の映画は観た。おそらく映画では逃げ場のない現実描写が結構マイルドになっていたのでは。
友達いないのがコンプな人は読まないように。あとは何かのオタク経験があって、それを100%楽しめているわけではない人が読むにはかなりきついと思う。コンテンツに対して少しでも不満があったり、自分の生活にうっすら不安があったりするなら、読むタイミングは選んだ方がいいと思う。
オタクを扱った作品自体はこれまでも触れてきた。 なんかそういうのが流行ってた時期あったよね?りさ子のガチ恋♡俳優沼は、あの頃あるあるだった事象のシチュエーションムービーみたいだった。月刊根本宗子の皆、シンデレラがやりたい。とか大好きだし。(*中年女性3人組が推しが隠れて働いてるホストクラブに通う話)推し、燃ゆは読んだはずだがあんまり覚えてない、、あれは不安定な女の子の話であって推しの炎上以前の話だったような気がする。イン・ザ・メガチャーチはいままでわたしが触れてきた個人の感情の物語ではなくて、構造の話が延々と続く。
現場以外でおたくたちはどう生きているのか、コンテンツ提供側は何を考えているのか、
それぞれの孤独をどう処理しているのか。
そういう話がずっと続く。だから推し活をしている人がこの本を読むならもう「知らない誰かの話」ではなくて、自分の現在地はどこなのかという視点になってくる。サバ番出身アイドルグループを売りたい側の描写は本当に面白くて、描写の精度の高さがそのままダメージになった。
わたしは15歳のときから2.5俳優のオタクとして舞台に通い、EBiDANオタクとして同じCDを何十枚も買い、オタ卒してからもプデュを見て投票して、なんならヨントンまでしている、、書かれていることがほとんど解像度高くわかってしまったので全くもって他人事としては読めなかった。完全に今まで見てきた話をずっとしているもんだから走馬灯かと思ったし。ずっと構造の話をしているのに、それでいて途中でそれぞれの感情を容赦なく追体験させてくる。
ある日突然アイドルにハマった大学生の高揚感、仕事以外で誰とも雑談できないおじさんの少しずつ変わっていく感情、推しを失って孤独と不安の中で陰謀論に取り込まれていく女性。
それらが全部パックで提示されるの圧巻だった。気づけば「おじさん頑張れ」と思い始めており、あたし応援するよ…!みたいな気持ちに普通になっている。でもその先にある結末があまりにも現実すぎる。悪いほうの。
物語なんだからどこかでうまくいくはずだと思ってしまってた心理を逆手にとられた!と思った。小説のくせしてどこまでも現実の話なので、そんないい話にはならないって突きつけられる。
これを読んでた多くの人がおじさんを応援しかけて、そのまま裏切られたんじゃないんですか。もしこれが女性アイドルとおじさんの構図だったら途中で「いやきもいぞ」と距離を取れていたはずで、自分の中の無自覚なバイアスが浮き彫りになったのもきつかった。
この小説、このオチ書きたいための積み上げなんじゃいのと思うくらい見事に引っかかってしまった。
そんで何よりつらいのは、誰も何もやり切らないまま終わることである。構造を描き切るならその中で何かを選び取るとか、陰謀論デモをやり切って警察に連行されるとか、そういう着地がほしいのに性格が悪いので労働讃歌でもない、どうすんの?この後この人たちどうにかいい感じに生きていけんの!?って気持ちにさせられたまま見捨てられてしまった。一体どうしたら良かったんですかっていう提示もないもんだから…。一見良い方向に向かっているかに思えていた物語の積み上げが、感情で一瞬で崩されて終わるのが本当にしんどかった。
この小説は単に推し活の話をしているのではなくて、それぞれの孤独の話をしている。わたしがもし結婚してなくて引き続き収入のほとんどを注ぎ込むようなおたくのままだったら絶対に最後まで読めなかった。3人の主人公が1周するまでも読めなかったと思う。
わたしは生まれた地域のおかけで手に入れた幼馴染を除き、友達は大平峻也くんを一緒に応援していた何人かと、EBiDANを追ってた頃に知り合った人たちだけで、全員多分5年くらい会っていない。夫とのみ過ごしており、たまに夫がいない時は実家に帰っている。そんな感じなので、仲良くしてくれた友達との思い出が宝の記憶になりすぎている
すごく良くできた話だった。わたしにとってはダメージが大きすぎたけど。おたくだから読めないんじゃなくて、友達がいないことに寂しさを感じているから読めない話だった。有り得たかもしれない自分の姿が書いてあった。ほんとうに気をつけて読んでほしい。
夫にすすめられて仕方なく読んだけど、本当に後悔しているので。わたしは嶽本野ばらのミシンみたいなアッパー系の話が読みたいのに、、、最近面白かった小説は君のクイズとある男と回樹です。
読書感想文書くの超苦手だったけど何かしら言いたくなったので書きました。
おしまい




