みんなの心に棲む-りさ子のガチ恋❤︎俳優沼

このブログに辿り着いた人は若手俳優のグループからの人と、

2年前に書いたガチ恋に関するエントリから来た人がほとんどなので本当に"ガチ恋"というワードの強さをハチャメチャに感じる。

ガチ恋だった私の今と昔 - さくらまつり

 

そんなわけで『りさ子のガチ恋❤︎俳優沼』を観てきた。

チケット取りを張り切りすぎて推しもいないのに最前でみた。

 

"ガチ恋"って単語、最近よく聞くけど語源がどこなのか知らないし、定義もあるのかどうかもわかんない。

正しく説明出来る人なんているのかな。そんな造語を舞台にするのはめちゃくちゃ難しくない??と思ってたんだけど。

 

26歳、彼氏なし。OLりさ子の趣味は舞台観劇。
大好きなイケメン俳優しょーた君を追いかける日々。
彼が出演中の2.5次元舞台『政権☆伝説』に大ハマリ中。

最前席で全通。グッズもコンプ。そして高額プレゼント。
「がんばってる姿を観られるだけで幸せ」そう思いつつも。
彼のちょっとした「特別扱い」に心ときめいていた。

ある日。ネットでしょーた君に彼女疑惑が持ち上がる。
彼との匂わせを繰り返す女が気になり暴走するりさ子。
エスカレートする迷惑行為。その行きつく果ては……。

俳優とファン――「この関係で、私の気持ちは届くのかな?」
演劇業界の闇に切り込む、見て見ぬふりをしたかった愛憎劇。

 

主人公、りさ子。

シリーズものの人気舞台、政権☆伝説の主演のしょーたくんのファン。

政権☆伝説の規模がどの程度のものなのかはわかんないけど、シリーズものの主演がプレ手渡しの接触イベントできるってどのくらいの人気だろ。

 

あらすじを見るに、りさ子は毎回最前全通なのに顔認知どころか初めましてって言っちゃうしょーたくんまじでどうかしてる怖い。と思ったけど、りさ子は多分特徴のない顔なんだろうね。

 

接触イベントがない段階のおたくなんてめちゃくちゃかわいいかめちゃくちゃブスじゃないと覚えられないか多分。

 

気の毒だけど、りさ子もりさ子で認知されてるとか自分はちょっと特別なファンだって思いこんでた根拠がとにかく謎。

りさ子自分の着てる服と同じ柄の封筒でファンレター書いてるんだよ。ちょっと怖いよ。

 

しょーたくん女優の彼女による匂わせで炎上しますけど、しょーたくんすげーいい奴そうだった。

真面目で仕事にも真剣に取り組んでそうなのにオツムがめちゃくちゃ弱い。勉強の出来なそうないい奴。残念。サッカーがうまそうなかわいい顔だった。

 

台本真剣に読んでるのにカノがちょっかいかけてきても怒らないし(やさしい)、

ファンからもらった飴をカノが勝手に食べて、その写メをTwitterに載せてるとき横にいるのにそれが匂わせになるということに気づけていない。バカだから。

 

政権☆伝説はしょーたくんが主演で、脇に秋山くん(秋葉友佑)という子がいたんだけど

うわ〜〜手作りじゃんまじ無理…

触るのも無理ッスわ〜〜

とか言ってプレを楽屋のゴミ箱に突っ込んでるのに、一緒に袋に入ってる手紙はちゃんと抜いてるの推せた!!!!LUSHを共演者の女にちょーだい!って言われても横流ししないのも推せた!

わたし秋山くんのおたくになる!!!

 

秋山くん、しょーたの厨に腐アピが酷い、しょーたの人気に乗っかろうとしてるって散々言われてたけど貪欲な感じがとても推せるので頑張ってほしい。

 

わたしは2.5の俳優の厨ではないけどこの界隈にいればまあまあ耳にする単語がたくさん出てきた。

どちらかといえば年齢高めの厨がいいそうなやつ。

 

厨と役者の繋がりがどうとかは全然出てこなかった。りさ子は出待ちとか非公開をガッツリしてるおたくではなかったようだ。

りさ子周辺の応援スタンスだとかつるんでる厨の層がそのへんで大体わかるなあと思う。りさ子の個スレは多分一生立たないな。

 

見守る、親目線、笑って仕事が出来てればわたしも幸せ、推しのために仕事してる、推しがいるから頑張れる。

そういう系。りさ子26歳だし、がむしゃらにリフレとか風やって捨て身で応援出来るほど若くないんだな。若気の至りだよねってヤラカシを笑える年じゃない。

人間関係苦手そうだし、おとなしい地味なおたくだった。TDCにいけば大量にいる。

 

りさ子最前全通なのに出待ちガッツじゃないの逆にすごくない?いや出待ちはしてたけど。急に後ろから声かけてちいさーーーーい声で、

「おつかれさまでした…かっこよかったです……頑張ってください……」

とかゆうてんのウケた。そんなんで出待ちする意味あるのか。

 

りさ子は政権☆伝説の原作のゲームのファンだったらしくて、おそらくは原作ファンから舞台を観て俳優沼に落ちたタイプなのかなあと思う。

そう考えるとあの思い込みの激しさとか暴走は、アラサー超えてからプライベートでは触れ合えない男への感情を拗らせた結果なんだなあととても納得が出来る。

 

この舞台を観てガチ恋はそんなんじゃないとか、違うとか言うのはナンセンスなんだろうけど、

やっぱりりさ子の応援スタンスをガチ恋という言葉で括るには違うんじゃないかな〜。

 

わかってほしさみたいなものの権化というか、見つけてほしい、自分という存在を個人として見てほしい、ありがとうって言ってもらいたいし言ってもらえることをしたいって思ってただけなんだよね。

カノのるるちゃんは名前を呼んでもらえるのに、るるちゃんだけに見せる笑顔があるのに、

いつも通って最前に座ったり全通したりクロムハーツあげたり、喜んでくれたらなって思って365日ずっーーーとしょーたくんのことを考えてるのに、こんなに好きなのに、ファンってだけで一般人というだけで、「初めまして」って言われちゃう。

こんなに好きなのに。

 

その気持ちをうまく言語化出来る人なんていないよ。

多分アイドル追ってた時代のほんとにガチ恋のときより、元本命時代の見守る系( )を拗らせてたときのわたしの方がりさ子の叫びは響いたと思う。

 

エゴだなんてわかってるけど、わかってても自分を納得させてあげられる言葉が自分で思いつかないんだよ。

彼女作らないでよなんて言えないけどさ、思うことだけは許してほしい。

 

ガキさんの長台詞が本当にすごくて、りさ子の魂の叫びの引力がすごかった。あんなに泣きそうになりながら絶え絶えになりながら話してるのに聞き取りやすくて。

りさ子のことは全く擁護出来ないけど、りさ子の気持ちを1%も分からないなら若手俳優やるのは向いてないよね。

 

りさ子に感情をぶつけられたしょーたくん、おそらくは誠意を見せたかったんだろうけどTwitterで交際宣言をします。事務所を通さず。

しょーたくんは本当に頭が良くないんだなと思った。みんながそれで納得して付いてきてくれるって思うのかな?バカなんだなあ。

事務所に干されてファンもいなくなって、るるちゃんの立場も悪くなって破綻という未来しかわたしには見えなかった。

 

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Twitterのつぶやきが出る場面はみんなペスト医のマスクを模したものを被っていた。薄気味悪かった。

 

 

はい。ここまで大体2700字。

内容の細かいところを書いて満足したのでその他諸々。

 

端的に言うとわたしはこの舞台つまんなかったなと思ったところが多かったので、そう思った理由も忘れないうちに書いておきます。

 

若手俳優おたのつぶやきとか関係性とか、あるある〜〜っていうのが山ほど出てくるけど、出てきすぎてロールプレイングのようになっていてシーンの一つ一つが長かった。

なんか別にそういうのってあるあるとしては面白いけどお金払わなくても現場いけば見られるし体験できるし、そんな長く時間取る必要あったのかなと思った。くどい。

追っかけをする人の気持ちが全く分からねえみたいな人は勉強になるのかもね。

 

ラストのガキさんの長台詞がめちゃくちゃよかっただけに、もっとりさ子の内面にガッツリ焦点を当てた場面が観たかったなあ。

厨のダークな部分も、演者のダークな部分も両方描かれていて偏りがなかったのでどちらに肩入れするということがなかったのはとてもよかった。

転じて、りさ子の応援スタンスを良いとも悪いともはっきりとは決めないので毒にも薬にもならんみたいな。

なんだろうな、単純に戯曲と演出がつまんなかった。

演劇業界の闇に切り込む、見て見ぬふりをしたかった愛憎劇。

とあらすじにあったけど、切り込んだその先がなかった。ただの再現ドラマ。

 

 

比較するのはやめようと思ってたけど、歌手の追っかけおばさん3人組の話だった根本宗子さんの『皆、シンデレラがやりたい』おたくでいられる強さ-M&Oplays『皆、シンデレラがやりたい。』 - さくらまつりは物語がちゃんとあったので戯曲としてそっちの方が格段に面白かった。

そんな感じ。

 


スマイレージ 「同じ時給で働く友達の美人ママ」 (MV)

 

いっこだけ言いたい。るるちゃん役の人、ナイスおっぱい!

 

おしまい。

虚構の現実が観たいのだ/ひとりぼっちのみんな「デトックス述懐」

推しがでてるそこそこの舞台と、推しは出てないけどおもしろそうな舞台 - さくらまつり

 こんなエントリを書いてから自覚したけどわたしは多分演劇が好きなわけじゃない。シュチュエーションドラマを見ながらあるあるわかる!!ってするのが好きなだけなのだ。

ファンタジーもサスペンスも興味がない。一度に数百人程度しかいられない空間で現実よりは多少大げさに描かれた人間の関わり合いが観たいだけなんだ。と、先日タイトルの舞台を観て思った。

 推しが出る舞台なんてほぼ全部内容に興味がない。推しの芝居ありきで追ってるから作品を観た後でその後の自分の糧になってるなあって感じたことが殆どない。クソ舞台を観たことはあんまりないけど良い作品だったなあって思うこともかなり稀で、それは単にわたしのストライクゾーンがめちゃくちゃ狭いだけだったんだな。

 この間、ひとりぼっちのみんな「デトックス述懐」という作品を観た。チケットは1500円だった。観に行こうと思った理由はいくつかあるけど、脚本演出がねもしゅーの演出助手の人だということと、猪股さんが出ているからというのが主。ほかにもいくつかあるけど。

わたしは演劇的演出*1*2がめちゃくちゃ苦手で正直この作品にそういう演出はかなり沢山あったけど最近観た作品の中ではかなり良かったなあと思った。

 例のごとく女同士の空気感やクソ男が出てくる話だった。演劇の短大で本気で演劇をやりたい子、なんとなく入っただけで本気じゃない子、芝居が出来て尊敬されてるけどヤリチンの男、すぐヒステリーを起こす子、友達の彼氏の家に泊まって揉める子、ヤリチンはクソだと思いつつ自分がそう言う流れにならないとガッカリする子。そういう一言ではうまく説明出来ない出来事が目の前で繰り広げられるのがわたしはめちゃくちゃ好きなんだなあと思った。修羅場愛好家。

 20歳の誕生日を迎えて「わたしにはもう価値がない」とか言っちゃう女、わかりみしかなかった。わたしは今21歳だけど、めちゃくちゃ若いって分かってるのになんで焦っちゃうんだろうなんなんだろう。日本への不安?

他にもそういうことを描いた演劇があるなら知りたい。本当に知りたい。チケット代に上限はつけないけど多分こういうのをやってるのは小劇場系な気がするし、もはや演劇じゃなくても全然良い。東京03の対立のコントがめっちゃ好き。ヤマシタトモコ先生の「HER」も大好き。自分の好きなジャンルをようやく理解出来たから劇団の見当もつけやすくなった。よかった。

デトックス述懐、めちゃくちゃにオススメはしないけど*3わたしはすごく好きでした。

 

 

おしまい

 

*1:舞台上にいるキャストが誰ともなくひたすらに全員心情を話したりとか

*2:舞いながらセリフを言うとか

*3:苦手な演出がまあまああったから。でもそれがプラマイゼロになるくらいには楽しかった。チケット1500円だし

推しがでてるそこそこの舞台と、推しは出てないけどおもしろそうな舞台

タイトルの通り。 

おたく休業中の1年間、若俳のあんまり出てない舞台を結構観に行った。今まで劇団名は聞いたことあったけど行ったことはなかったやつとか、チラシの束を見て気になったやつとか。

推しがいた当時はついつい推しにお金を使ってしまって、気になる舞台があってもちっともお金が回らなかった。そのせいでものすごく偏った舞台鑑賞だったから、そういうしがらみから解放されてやっと自由に色々手をつけたんだけど、正直引きが悪くておもしろいと思う作品は殆ど観られなかった。

 

そもそもわたしのようなおたくの採点方法は、推しが出ていれば無条件に60点くらい加点されて、作品自体がそんなにおもしろくなくてもそこそこの満足感は得られる。推しかわいいし。かっこいいし。推しが頑張ってて舞台の上で動いてればチケ代分の満足感は得られる。

ただ推しが出ていない舞台になんとなくおもしろそうというザックリとした気持ちで行くと、おおよそ 「まあつまんなくもないけどとびきりおもしろいわけでもなかったな」 みたいなのばっかりだ。その手の舞台は40点くらいしか点数がつけられない。推しが出てれば100点になるのに。

 

そんな曖昧な採点基準のわたしは2016年頭から今まで、40点を超える舞台をほとんど観られなかった。 本当にはずれを引きまくった。必ず1回は行くって決めてるのはねもしゅーと柿だけで、一向に増える気配がない。

 

こうなってくると、まだ見ぬ当たりを目指しておもしろそうな舞台を探すよりも推しの出てるまあまあな舞台に行き続けてたほうがいいんじゃないかって気がしてきた。

死ぬほどつまんないっていうわけでもなく、どれもそこそこはおもしろいんだけどタダチケあるから明日も来ない?って言われたらまあ行かないかな。みたいなのばっかりで、演劇ソムリエみたいな知り合いがいればなあってここ1年ずっと考えている。

 

おもしろい舞台、教えてください。

突然コンテンポラリーダンスみたいな舞をしながら台詞を言ったりしなくて、メタが一切なくて、社会風刺の含まれた口語劇が観たいです。キャパ300以内くらいの劇場でやってて、踊りながら場転とかしないところがいいです…

 

厳しいんだ。ねもしゅーを知ったのは口コミだったけど、おもしろくない舞台を知ったのも口コミだ。超超おもしろくないと近くない劇場へ行って2時間奪われて4000円くらい払ったことについて自分を納得させるのが大変で、最近は悔しくておもしろくなかった舞台のおもしろくなかった理由をひたすら考えてる。

ずっと考えてるとおもしろくなかった理由が腑に落ちてそれならまあ仕方ないって思える気がする。

 

どうかわたしにおすすめを教えてください。

 

おしまい。

 

 

おたくでいられる強さ-M&Oplays『皆、シンデレラがやりたい。』

新年あけましてよろしくお願いします(喪中)。

 

この度、人間生活が本当にゴミクソ死ぬほどつまんなすぎておたくに戻る運びとなりました。 

この1年間本当に暇だった。用事のあるなしでなく精神的な暇がずーっと続いていた。この間観たテニミュが楽しかったからてにみゅのおたくになるよ。もうTSCにも入ったんだ。

 そんな決意をした1週間後くらいに、根本宗子さんの舞台を観に行った。号泣だった。

M&Oplaysプロデュース『皆、シンデレラがやりたい。』

 売れない歌手をストリート時代から応援しているアラフォーババア3人組のお話。

 

 ①仲良し(仮)同厨ばばあ3人組の大大大大好きなりっくんがカノバレしてしまう。

②3人は相手の地下アイドルのアンチと化し、あることないことをSNSやまとめに垂れ流す。

③ツイートの位置情報を元に地下アイドルが3人の元へ乗り込み、3人の愛するりっくんがいかにクズでどうしようもない男であるかを暴露する。

 

だいたい流れはこんな感じでしょうか。これだけだとどこで泣くんだよって思うけど、1年間おたく断食状態のわたしには全部がつらくてつらくてしょうがなかった。

 まず、カノバレする前の3人がとにかくとにかく楽しそう。

 

ライブでタオルをキャッチして、「あれ、りっくん絶対神保さんに投げてましたよ!!」「え〜そんなことないよ〜!」「いや絶対そうでしたよ!!!」ってキャッキャして仲良く三つに切り分けて匂い嗅いだり、

 「この間りっくんに握手でもっと前に出て行かなきゃだめだよって言ったら、でも僕はみなさんがいるだけで充分嬉しいのでなんて言ってたんですよ!」「あの子、芸能界でやっていくには優しすぎるのよ!!」

と将来を案じたり、 

売れてほしいけど遠くに行っちゃうのは嫌だなあと1人が言えば、

「馬鹿!あたし達はストリートの頃からずっとりっくんを"支えてる"んだよ?うちらが他とは違う、特別なファンってことはあの子だってちゃんとわかってるから!」

なんて、意味不明な励まし合いをしたり、側からみたら本当にいい歳して何言ってんだよって思うようなどうしようもない会話を楽しそうにしてるのがとにかく羨ましかった。

 

 おたくを辞めると本当にやることがないの。手紙を書くこともないし、ということは下書きを考える時間も必要なくなるし、封筒デコのための舞台モチーフシールを探すこともなくなる。

プレゼントを悩む時間も必要ないし、スタンド花を出すための花屋とのやりとりとか、乗せたい小物探しもしなくていい。毎月自動的に顔を合わせてた友達とも約束をしなきゃ会えなくなっちゃうの。

裏を返せば、たった一人の芸能人を好きになるだけで、毎日やることも考えることもいっぱいになるということです。好きな俳優がいるってだけなのにたくさんの趣味がそこから派生していて、おたくを辞めるってことはその趣味丸ごと全部必要なくなる。

無理にオタ卒して趣味を丸ごと失ったわたしは、本心は別だとしても共通の趣味を持った仲良しの友達がいるっていうことだけで羨ましかった。

 

ぬいぐるみを常に持ち歩いているロリータメルヘンセレブの角川さん。

旦那の金でスナックを開き、旦那の金でスナックの壁をりっくんのパネルが出現する回転扉に改造した神保さん。

1人だけお金があまりなく、2人から陰で節約の度が過ぎていると言われているしまむらユニクロLOVEの榎本さん。

 どれもわたしが将来絶対なりたくないと思っていたおばさん達だった。だけど本当に楽しそうだった。

"りっくんが大好き"という共通点のみの凸凹トリオで、劇中でも何度か「りっくんのファンじゃなかったら絶対仲良くなってないわ」という言葉が出てくる。

 

一ノ瀬陸がホストをやっていてそれを勧めたのがセレブの角川さんであることを三村まりあ(りっくんの彼女)が暴露すると、

「なんで教えてくれなかったの!?」「色恋はあったの??」

と、いままでまりあ対3人だった構図がセレブ角川対2人に変化する。

だけど、そんなの知らなかった!!と角川を責めた2人も、実はホストの陸に会いに行っていたことが分かるとはたまた状況は一変。

「実はホストクラブでのりっくんの話もしたかったの~♡」「わかる!!ライブのときとは違う姿もいいよね!!」

なんて、さっきまであんなに罵り合っていたのにホストクラブでのりっくんがいかにかわいくて素晴らしいかで盛り上がり始めて、おたくの絆の有り方が見事に表れていた。 

カノバレ直後も、ホストで稼いだお金を風俗嬢につぎ込んでいる事やまりあの妊娠に対して「俺の子って確証はないんだから堕ろせ」っていうようなクソクズ野郎であることが分かっても、誰一人りっくんの悪口を言わなかったところが印象的だった。

「もうなんか色んな情報が入ってき過ぎてどうでもよくなっちゃった」なんて台詞はあっても、一ノ瀬陸に対する言葉はなかった。

自分の推しがもしクズバレしたらわたしはどうするかなって考えてみたけど、わたしも多分推しに憎しみは湧かないかなあ。せいぜい呆れて降りるくらいで、幸せをもらってたことにかわりはないし攻撃することはないんじゃないかと思う。3人と同じように、推しの代わりに彼女へ憎しみが向くかな。

 

まりあが陸の悪行を洗いざらいぶちまけたあと、貧乏でケチな榎本さんただ1人だけがまりあに言葉をぶつける。

「あなたはそれをわたしたちに言ってスッキリしたかっただけですよね?今わたしがそれを聞いて不快な思いになっているということは、あなたのその発言がお節介だったということではないですか?」

「11時間パートをしなければ1万円を稼ぐことができないわたしは、自分で稼いでいない神保さんや角川さんよりもお金で得られる対価に対してよほど貪欲です。そしてわたしはまだ、今まで使ったお金の分を回収出来ていません。」

「お金を払って対価としてその見返りを受けているわたしは今あなたから聞いたことさえ無かったことにすれば、ずっとずっとりっくんと繋がっていられるんです。心でしかりっくんと繋がっていない不安定な関係のあなたよりずっとずっと強い関係なんです。」

 「りっくんと出会って、学生生活では味わえなかった体験をたくさんして、今すごく楽しいんです。わたしが今まで質素に暮らしてきたのはこのためだって思うんです。だからどうか、わたしからそれを奪わないでください。」

 

一見するとただ現実を見られていない滑稽なおばさんのようにも感じられる鬼気迫る榎本さんの言葉は、今までの誰の言葉よりもわたしを励ましてくれた。

この長台詞のあと「どんだけポジティブなのよ」って台詞があって、そこで客席はドッと笑うという場面があった。なんかもう本当に違うんだよ〜〜別に榎本さんはポジティブなわけじゃないんだよ〜〜と思って辛くて仕方がなかった。

榎本さんだってカノバレ前から彼女がいるかもしれないことなんてなんとなくはきっとわかってたと思うし、自分がそのポジションになれないこともわかってる。それでも笑顔を見たいし笑いかけてほしいし、色々なことに蓋をして、おばさんがなんとか自分で実現できる範囲の一番の幸せがそこしかないんだよ多分。

給料の殆どを追っかけに費やして、そんなわたしに否定的だった周りの人たちも、そんな周りの反応に不安を感じて無理矢理大好きなものから遠ざかったわたしも、本当に大馬鹿野朗だった。

おたくを辞めて、あー普通の人はこんなにも毎日をのんびり生きてるんだなって実感が得られたけど、その生き方を全く楽しく生きられない自分へのショックが大きかった。社会不適合なのかなとか思ったりして。

観たい舞台がたくさんあって、あげたいお洋服もやってみたいスタンド花のモチーフもたくさんあって、だけど使えるお金や時間には限りがあって、そういう取捨選択が楽しかったなあとか、お金や時間をこれだけ費やしているわたしはここにいて良い人間なんだって自己肯定感を感じてたなあとか。でも、誰になんて言われようと追っかけを続けるパワーがわたしにはなかったし、普通の女の子の幸せも手に入れたかった。

 

「角川さん、りっくんにホストになることを勧めてくださって、ありがとうございます。」と言って一礼し、スニーカーから貸してもらったCHANELのパンプスに履き替えてホストクラブに向かった榎本さんは世界で一番かっこよかったよ。

そりゃあんなクソ屑野朗をこれからも応援するなんてどう考えても正解じゃないだろうし、40過ぎてホストクラブに通うためにビキニキャバクラやるなんて平常な思考回路とは思えないけど何かに生活を捧げる楽しさを知ってしまったらもう戻れないよね。

 

六本木ツンデレラ

六本木ツンデレラ

シャンパンタワーのコールを満面の笑みで浴びて舞台の中心にいる榎本さんと、スナックのカラオケでトリセツを歌う榎本さんが重なって見えた。

これからもどうぞよろしくね
こんな私だけど笑って許してね

ずっと大切にしてね

永久保証のわたしだから

劇中で歌われるトリセツの他にも、後々皮肉だなあと思ったり、繋がってくる箇所があったりして今回初めて2回観たけど色々気づくことができて楽しかった。

「あ゛〜〜妊娠しそう」

「あの子旦那の連れ子だからさ、お腹痛めて産んだ子じゃないとぜんっぜん興味ないのよね」

「今度ミザリーの主演やるんです」

プロローグで赤いワンピースを着て現れた榎本さんはあの後ホストクラブへ行く予定だったんだろうなあとか。

 

あ〜〜正しいとか正しくないとかそういうのはさて置いて、夢中になれるものに飛び込んでいくときの快楽物質がドバドバ出てる感じをまた味わいたいなあ〜〜〜〜。思い出はいつも綺麗だけどそれだけじゃお腹がすくわなんてよく言ったもんだね。

俳優のおたく→一般人→2.5舞台のおたく とか結局何も変わってないじゃんって思うけど、チケ代プレ代花代がチケ代だけになったんだから大きな進歩だし、個人を追うのから急に変えるのは絶対無理だからこの1年間は方向転換のための最短ルートだったんじゃないかな。

悔いの無い楽しい人生を生きたいね。

 

本当に、どうしようもないおたくの話だったけど物凄いパワーで背中を押してもらえた。観に行ってよかった。ねもしゅー観て元気でるとか初めてだな。おたくの何が悪いんだよバカヤロー!!!!!って大声で叫ぶことが出来るようになれた気がする。おたくへの応援賛歌でした。

 

おしまい

月刊「根本宗子」第13号 『夢と希望の先』

幼馴染とおたくをしている間に出来た友達を除くとわたしには自力で作った友達が1人しかいない。その子とはものすごく仲がいいってわけじゃないし、考え方とか性格とかも似ていない。ただ出席番号が前後だったことがきっかけだった。お互い激しくない性格で、人に合わせるタイプの人間で、クラスにあまり馴染めてなかったからなんとなく一緒にいた。高校1年2年と同じクラスで、ちゃんとお互いのことを話すようになったのは2年の最後の方だった。3年生のときは違うクラスだった。

その子の好きなバンドのライブについて行ったり、学祭を見に行ったりでなんだかんだ高校卒業後も年に3回くらいは会っている。その子は今大学生だけど現在休学中で、わたしは高卒で事務職をしている。お互い違う環境で暮らすようになって、ああわたしこの子の生き方が全く理解出来ないんだなって知り合って6年目くらいで最近思った。自分の考えを曲げたくなくて、自分が間違ってないと思ったら謝りたくないようで、事なかれ主義のわたしはもっと上手に生きればいいのに、なんて上から目線だけど話を聞くたびに思ってしまっている。話し方や雰囲気は温厚なのに妙に頑固なところがある子だ。

もっとこうした方がいいんじゃない?あなたの為に言うけど、なんて言葉がいつも喉から出かかるけど大きなお世話だろうと飲み込むことが多々あって、今まで遊んでいる間は楽しいのにその後3日間くらいもやもやしてしまっていた。そして、ちょうど先週その子と遊んだので今週はもやもやが続いていた。

そんな中、今週の木曜日に月刊 根本宗子「夢と希望の先」を観に行った。

小さい頃からずっと一緒にいた親友と芸術家志望の24歳無職の彼氏との間で板挟みになって彼氏を選んで10年後、完全にフリーターになった彼氏に浮気されて別れて10年前の親友に懺悔するって内容だった。

もっと超越した所へ。から観始めて今回が一番つらかった。

10年前に絶交した親友に「私に会いたくなったら聞いてね」って渡されたCDに入っていた"さっちゃんのセクシーカレー"を聴くシーンで号泣だった。何年来の親友だとか彼氏が糞野郎だとかそういう背景は抜きにして、2人とも主人公のことが大好きでこうなってほしいっていうビジョンが各々の中にあるんだろうっていうのがめちゃくちゃよく見えた。そしてそれを押し付ける言い方しか出来なくって、主人公のさっちゃんもさっちゃんで正しい道を見誤ってしまって不幸へと一直線で進んでいた。

おたくをやめて彼氏をつくって、普通の生活をするようになってから根本さんの書く話に共感したり明日は我が身と怖くなることが増えた。面白いのはもちろんだけど、自戒の意味も兼ねて根本さんの舞台を観に行っている面もかなりあって、今回はまさにドンピシャだった。

「あなたの為に言ってるんだよ」「普通はこうだよみんなそう思ってるよ」という呪いの言葉がずっと頭から離れない。主人公のさっちゃんがわたしの友達で親友のえっちゃんをわたしに投影して観ていた。わたしは舞台みたいに重要な人生の分岐点を争っているわけじゃないけど、もし友達が誤った(ように見える)選択をした時きっと出来ることは何もなくって、10年後のさっちゃんを優しく受け入れることしか出来ないんだろうな。つらいな〜〜〜〜10年後のさっちゃん幸せになれるといいな。

10年前の親友のプールイさん演じるえっちゃんは、言ってることは間違ってないのに「私はさっちゃんが大好きだから言ってるんだよ?」「絶対おかしいよ!普通そんなことしないよ!!」ってただそれだけを繰り返すことしか出来なくて、自分の決意をひたすら否定され続けるさっちゃんは逆上することしか出来なくなっちゃって、本当に悪い説得のお手本のようなシーンだった。自分の意見を"普通はこうだよ"って言葉を隠れ蓑にして話されるの本当に腹立たしくて、えっちゃんの言ってること何も間違ってないのに観ているこっちが何故かムカついていた。

わたしの友達が不幸になるわけじゃないし、必ずしも間違った選択をしているわけじゃない。わたしの考え方とは全く違う生き方をしているからってわたしが悩む必要もきっとなくって、ただ話を聞くに徹するのがきっと正しい。最近母親に「人を思い通りにするなんて無理だってあんたたちを育てて悟った」って言われて、わたしの心に何かがグサリと刺さったけど、身内でそれなんだから他人を思い通りにするなんてもっと無謀なんだろう。劇中の言葉を借りるなら、どんなに似てると思っても結局同じ人間なんていないもんね。心に刻もう。

共感が高まるにつれてどんどん根本さんの舞台を一人で観るのがつらくなってきてしまって、来年の一本目は彼氏を引っ張っていくことにした。舞台デビュー。劇中の台詞で、「10年前私が偶然すれ違ったのが友近じゃなくて香取慎吾だったら完全に運を使い果たしてたね」っていうのがあったけど、終演後駅前で馬鹿よ貴方はのファラオさんを見かけてどっちだろうの気持ちになったよ。

本多劇場は今回初めて行ったけど、下北サンデーズ大好きマンには感慨深いものがあった。初本多劇場で面白い演劇が観られてよかった。長井さん出ないのめちゃくちゃ残念だけど来年も楽しみだな。

 

おしまい。

 

やっぱこれだね

だーじゃーはお

ミュージカルテニスの王子様上海公演に行ってきた。テニミュを初めて見たのは2nd関東氷帝で、関東立海以降は2nd全立3rdルド山吹のみ。そんなテニミュにわかファンのわたしが海を越えてきた。

遠征理由は単にパスポートを持っているのに全然使ってなくて勿体無いから。その土地の名所に興味がないので、テニミュという目的がありつつ普段行かない土地に行けるというのは願ってもないことだった。

青春体感ミュージカルだってことをしみじみ感じた上海公演だった。2nd関東氷帝以前にサマフェスってイベントがあったと思う。色々と物議を醸したサマフェス。わたしが初めて参加したテニミュに関係する催しである。本公演観劇前にそこで推し(のようなもの)が出来てしまったために、キャスト誰一人に興味がない中で自発的に足を運んだのはこの上海が初めてだった。*1更に原作を所持しているものの、特定のキャラクターが好きということもないので、キャラへの思い入れもない。

そんな人でも楽しめる、それがミュージカルテニスの王子様。複数公演行っていた頃から揺るがないM1だけのためにお金を払える感。M1どころか漫画でよく知っているキャラクターが今目の前に実在して青白い光に照らされながらポーズを決めているその瞬間だけに6000円払えてしまうよわたしは。テニミュっていいなあという思いが冒頭で全身に溢れてしまった。

上海公演を観劇するにあたって不安要素と言ったら無事に帰国出来るかと観劇マナーの違いに関してだったけど、思っていたよりも良かったんじゃないかと思う。私語はたくさん聞こえてきたけど不思議なもので、言葉は理解出来ないのに何に興奮しているのかがわかってちょっと面白かった。過激厨じゃないからわかる☝︎の気持ちになって楽しかった。ちゃんと日本式マナーでやる努力もされてたし。

hatenanews.com

 「スマホを舞台に向けているお客さんがいると、劇場スタッフが後ろからその画面にレーザーポインターを当ててくるんです。そうするとお客さんはスマホをしまう。舞台上よりも客席で何本ものレーザーの光が飛び交っているという、不思議な光景でした」とその様子を振り返ります。ところが、公演を重ねるたびにレーザーポインターで注意を繰り返していたところ、千秋楽公演でスマートフォンを取り出した観客は0人だったそう。

噂には聞いてたけど、本当に写真撮ってる人の電子機器にレーザー当ててた。物理的すぎて笑ってしまった。そんなこんなで日本とは少し違った環境のテニミュも楽しむことができた。日本人はチケットが全て当日引き換えだったのかな、引き換えたら観劇した2公演ともいい感じの席が出てハッピーだったのもある。

小声ですらない会話をガンガンしてるような人たちなので 劇中の驚嘆の声なども日本とは違って、リョーマ着替えのシーンの盛り上がりには笑ってしまった。発声上映とか応援上映とか流行ってるけど本当にそんな感じ。やっぱりリョーマ手塚不二跡部は人気なんだなと思った。本公演での歓声にそこまでの差を感じたことはなかったから新鮮だったし、カーテンコールで挨拶に出てくる時の歓声は最高の誉れだろうなあと思ったよ。

こんなくそにわかなのに海を超えた言葉も通じない国でこんなにも歓声があがるテニミュはなんてすごいんだろうかと感動してしまった。テニミュってすごいんだよ。VIP特典で写真も撮れたし楽しいことばかりの上海だった。テニミュの楽しさに気づいてしまったわたしは次の六角からはちゃんと行く決意をしたのだった。

一応青学トリオ厨のわたしは、トリオを中国語で青学三小花と書くと知ってなんて素晴らしい表現だろうと思った。そうだよトリオは青学の小さい3つのお花なんだよ。これ以上ない最高の表現だね。上海公演てこともあってかなり中国語が取り入れられていたけど、発音がかわいくてかわいくて何て言ってるか全然分からなかったけどとにかくかわいかった。あと中国語わからなすぎて全部うまく聞こえたけど結構通じてないのもあって笑った。

また海外公演あったら行ってしまうかもしれないなあと思った上海公演であった。

 

おしまい。

*1:6代目卒業以降は人から誘われて行っていたので。