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さくらまつり

非オタへの道(失敗)

おたくでいられる強さ-M&Oplays『皆、シンデレラがやりたい。』

新年あけましてよろしくお願いします(喪中)。

 

人間生活がまじで死ぬほどつまんないからわたしはおたくに戻るよ!!

 

この1年間本当に暇だった。用事のあるなしでなく精神的な暇がずーっと続いていた。この間観たテニミュが楽しかったからてにみゅのおたくになるね。もうTSCにも入ったんだ。

 そんな決意をした1週間後くらいに、根本宗子さんの舞台を観に行った。号泣だよ。 

M&Oplaysプロデュース『皆、シンデレラがやりたい。』

 売れない歌手をストリート時代から応援している40overのおばさん3人組のお話。

 

 ①仲良し(仮)同厨ばばあ3人組の大大大大好きなりっくんがカノバレしてしまう。

②3人は相手の地下アイドルのアンチと化し、あることないことをSNSやまとめに垂れ流す。

③ツイートの位置情報を元に地下アイドルが3人の元へ乗り込み、3人の愛するりっくんがいかにクズでどうしようもない男であるかを暴露する。

 

だいたい流れはこんな感じでしょうか。これだけだとどこで泣くんだよって思うけど、1年間おたく断食状態のわたしには全部がつらくてつらくてしょうがなかったよ。

 まず、カノバレする前の3人がとにかくとにかく楽しそう。

 

ライブでタオルをキャッチして、「あれ、りっくん絶対神保さんに投げてましたよ!!」「え〜そんなことないよ〜!」「いや絶対そうでしたよ!!!」ってキャッキャして仲良く三つに切り分けて匂い嗅いだり、

 「この間りっくんに握手でもっと前に出て行かなきゃだめだよって言ったら、でも僕はみなさんがいるだけで充分嬉しいのでなんて言ってたんですよ!」「あの子、芸能界でやっていくには優しすぎるのよ!!」

と将来を案じたり、 

売れてほしいけど遠くに行っちゃうのは嫌だなあと1人が言えば、

「馬鹿!あたし達はストリートの頃からずっとりっくんを"支えてる"んだよ?うちらが他とは違う、特別なファンってことはあの子だってちゃんとわかってるから!」

なんて、意味不明な励まし合いをしたり、側からみたら本当にいい歳して何言ってんだよって思うようなどうしようもない会話を楽しそうにしてるのがとにかく羨ましかった。

 

 おたくを辞めると本当にやることがないの。手紙を書くこともないし、ということは下書きを考える時間も必要なくなるし、封筒デコのための舞台モチーフシールを探すこともなくなる。

プレゼントを悩む時間も必要ないし、スタンド花を出すための花屋とのやりとりとか、乗せたい小物探しもしなくていい。毎月自動的に顔を合わせてた友達とも約束をしなきゃ会えなくなっちゃうの。

裏を返せば、たった一人の芸能人を好きになるだけで、毎日やることも考えることもいっぱいになるということです。好きな俳優がいるってだけなのにたくさんの趣味がそこから派生していて、おたくを辞めるってことはその趣味丸ごと全部必要なくなる。

無理にオタ卒して趣味を丸ごと失ったわたしは、本心は別だとしても共通の趣味を持った仲良しの友達がいるっていうことだけで羨ましかった。

 

ぬいぐるみを常に持ち歩いているロリータメルヘンセレブの角川さん。

旦那の金でスナックを開き、旦那の金でスナックの壁をりっくんのパネルが出現する回転扉に改造した神保さん。

1人だけお金があまりなく、2人から陰で節約の度が過ぎていると言われているしまむらユニクロLOVEの榎本さん。

 どれもわたしが将来絶対なりたくないと思っていたおばさん達だった。だけど本当に楽しそうだった。

"りっくんが大好き"という共通点のみの凸凹トリオで、劇中でも何度か「りっくんのファンじゃなかったら絶対仲良くなってないわ」という言葉が出てくる。

 

一ノ瀬陸がホストをやっていてそれを勧めたのがセレブの角川さんであることを三村まりあ(りっくんの彼女)が暴露すると、

「なんで教えてくれなかったの!?」「色恋はあったの??」

と、いままでまりあ対3人だった構図がセレブ角川対2人に変化する。

だけど、そんなの知らなかった!!と角川を責めた2人も、実はホストの陸に会いに行っていたことが分かるとはたまた状況は一変。

「実はホストクラブでのりっくんの話もしたかったの~♡」「わかる!!ライブのときとは違う姿もいいよね!!」

なんて、さっきまであんなに罵り合っていたのにホストクラブでのりっくんがいかにかわいくて素晴らしいかで盛り上がり始めて、おたくの絆の有り方が見事に表れていた。 

カノバレ直後も、ホストで稼いだお金を風俗嬢につぎ込んでいる事やまりあの妊娠に対して「俺の子って確証はないんだから堕ろせ」っていうようなクソクズ野郎であることが分かっても、誰一人りっくんの悪口を言わなかったところが印象的だった。

「もうなんか色んな情報が入ってき過ぎてどうでもよくなっちゃった」なんて台詞はあっても、一ノ瀬陸に対する言葉はなかった。

自分の推しがもしクズバレしたらわたしはどうするかなって考えてみたけど、わたしも多分推しに憎しみは湧かないかなあ。せいぜい呆れて降りるくらいで、幸せをもらってたことにかわりはないし攻撃することはないんじゃないかと思う。3人と同じように、推しの代わりに彼女へ憎しみが向くかな。

 

まりあが陸の悪行を洗いざらいぶちまけたあと、貧乏でケチな榎本さんただ1人だけがまりあに言葉をぶつける。

「あなたはそれをわたしたちに言ってスッキリしたかっただけですよね?今わたしがそれを聞いて不快な思いになっているということは、あなたのその発言がお節介だったということではないですか?」

「11時間パートをしなければ1万円を稼ぐことができないわたしは、自分で稼いでいない神保さんや角川さんよりもお金で得られる対価に対してよほど貪欲です。そしてわたしはまだ、今まで使ったお金の分を回収出来ていません。」

「お金を払って対価としてその見返りを受けているわたしは今あなたから聞いたことさえ無かったことにすれば、ずっとずっとりっくんと繋がっていられるんです。心でしかりっくんと繋がっていない不安定な関係のあなたよりずっとずっと強い関係なんです。」

 「りっくんと出会って、学生生活では味わえなかった体験をたくさんして、今すごく楽しいんです。わたしが今まで質素に暮らしてきたのはこのためだって思うんです。だからどうか、わたしからそれを奪わないでください。」

 

一見するとただ現実を見られていない滑稽なおばさんのようにも感じられる鬼気迫る榎本さんの言葉は、今までの誰の言葉よりもわたしを励ましてくれた。

この長台詞のあと「どんだけポジティブなのよ」って台詞があって、そこで客席はドッと笑うという場面があった。なんかもう本当に違うんだよ〜〜別に榎本さんはポジティブなわけじゃないんだよ〜〜と思って辛くて仕方がなかった。

榎本さんだってカノバレ前から彼女がいるかもしれないことなんてなんとなくはきっとわかってたと思うし、自分がそのポジションになれないこともわかってる。それでも笑顔を見たいし笑いかけてほしいし、色々なことに蓋をして、おばさんがなんとか自分で実現できる範囲の一番の幸せがそこしかないんだよ多分。

給料の殆どを追っかけに費やして、そんなわたしに否定的だった周りの人たちも、そんな周りの反応に不安を感じて無理矢理大好きなものから遠ざかったわたしも、本当に大馬鹿野朗だった。

おたくを辞めて、あー普通の人はこんなにも毎日をのんびり生きてるんだなって実感が得られたけど、その生き方を全く楽しく生きられない自分へのショックが大きかった。社会不適合なのかなとか思ったりして。

観たい舞台がたくさんあって、あげたいお洋服もやってみたいスタンド花のモチーフもたくさんあって、だけど使えるお金や時間には限りがあって、そういう取捨選択が楽しかったなあとか、お金や時間をこれだけ費やしているわたしはここにいて良い人間なんだって自己肯定感を感じてたなあとか。でも、誰になんて言われようと追っかけを続けるパワーがわたしにはなかったし、普通の女の子の幸せも手に入れたかった。

 

「角川さん、りっくんにホストになることを勧めてくださって、ありがとうございます。」と言って一礼し、スニーカーから貸してもらったCHANELのパンプスに履き替えてホストクラブに向かった榎本さんは世界で一番かっこよかったよ。

そりゃあんなクソ屑野朗をこれからも応援するなんてどう考えても正解じゃないだろうし、40過ぎてホストクラブに通うためにビキニキャバクラやるなんて平常な思考回路とは思えないけど何かに生活を捧げる楽しさを知ってしまったらもう戻れないよね。

 

六本木ツンデレラ

六本木ツンデレラ

シャンパンタワーのコールを満面の笑みで浴びて舞台の中心にいる榎本さんと、スナックのカラオケでトリセツを歌う榎本さんが重なって見えた。

これからもどうぞよろしくね
こんな私だけど笑って許してね

ずっと大切にしてね

永久保証のわたしだから

劇中で歌われるトリセツの他にも、後々皮肉だなあと思ったり、繋がってくる箇所があったりして今回初めて2回観たけど色々気づくことができて楽しかった。

「あ゛〜〜妊娠しそう」

「あの子旦那の連れ子だからさ、お腹痛めて産んだ子じゃないとぜんっぜん興味ないのよね」

「今度ミザリーの主演やるんです」

プロローグで赤いワンピースを着て現れた榎本さんはあの後ホストクラブへ行く予定だったんだろうなあとか。

 

あ〜〜正しいとか正しくないとかそういうのはさて置いて、夢中になれるものに飛び込んでいくときの快楽物質がドバドバ出てる感じをまた味わいたいなあ〜〜〜〜。思い出はいつも綺麗だけどそれだけじゃお腹がすくわなんてよく言ったもんだね。

俳優のおたく→一般人→2.5舞台のおたく とか結局何も変わってないじゃんって思うけど、チケ代プレ代花代がチケ代だけになったんだから大きな進歩だし、個人を追うのから急に変えるのは絶対無理だからこの1年間は方向転換のための最短ルートだったんじゃないかな。

悔いの無い楽しい人生を生きたいね。

 

本当に、どうしようもないおたくの話だったけど物凄いパワーで背中を押してもらえた。観に行ってよかった。ねもしゅー観て元気でるとか初めてだな。おたくの何が悪いんだよバカヤロー!!!!!って大声で叫ぶことが出来るようになれた気がする。おたくへの応援賛歌でした。

 

おしまい