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さくらまつり

非オタへの道(失敗)

映画「何者」誰も知らない自分になれる場所

若手俳優わらわら映画を年に1.2本観るか観ないかの映画館にほぼ行かないわたしだけど、今年はそれなりに観てる。単に他にすることがない。

そんなわけでこの間、何者を観てきた。

  


『何者』予告編

 

eveprimrose.hatenablog.com

この方のブログが好きでいつも楽しみに読んでるんだけど、何者について書かれていて気になっていた。ちょうど彼氏が映画を観たいと言っていたのが重なったので朝から彼氏に原作借りて一冊読みきってからその日の午後に映画を観た。

就活×SNSの闇なんて楽しくなりようがないテーマだと思ったし、実際原作を読んだらいるいるめっちゃわかるつらいのオンパレードだった。

わたしは働いてはいるけど、高卒募集の一般職に就いてるから何者の大企業とか外資志望の就活生の気持ちは殆どわからない。高校新卒の就活はそもそも1社ごとにしか受けられないし、全体の6割くらいが1社目で受かるのだ。

それでも中学生の頃からSNSが心の拠り所だったわたしには共感出来る点があまりにも多かった。

 

◾︎タクト(佐藤健)

サークルで烏丸ギンジとW看板としてやっていたが決別し、演劇から離れる。観察能力が鋭く(?)人のTwitterをよく見ている。普段よく話す方ではないが、匿名のTwitterアカウントでは本心をツイートしている。就活留年をしている。

 ◾︎コータロー(菅田将暉)

サークルでバンドをしており人気だったが単位が取れず留年している。タクトとルームシェアをしている。明るくコミュ力が高い。いい奴。

 ◾︎瑞月(有村架純)

留学していたため大学5年生。タクトの片思い相手でありコータローの元カノ。聞き役であることが多い。母が精神的に弱く、途中で志望を変えてエリア職に就く。

 ◾︎リカ(二階堂ふみ)

留学していたため大学5年生。ボランティアなど様々な経験をしており、就活に役立てようとしている。学生時代の肩書きを羅列した名刺を作るなど、所謂意識高い系。タクト・コータローの家の上の階に住んでおり、リカの家が上記4人の就活対策本部となっている。

 ◾︎隆良(岡田将生)

リカの彼氏。付き合って3週間だが既に同棲している。就活に否定的であり、4人に対しよく持論を勝手に話し始めるが就活現場で目撃されている。1年休学しているため大学5年生。

 ◾︎サワ先輩(山田孝之)

理系の院の2年生。タクトの演劇サークルの頃の先輩であり、頼れる存在。やけに達観しており千人のようである。

 ◾︎ギンジ(藤原季節)

演劇サークルでタクトと決別し、新しく毒とビスケットという劇団を立ち上げた。月に一度必ず公演をしており、匿名掲示板では"質の悪い作品を連発している""数撃ちゃ当たると思っている""テーマが似てきている"などの批判を受けている。

  メインの7人の基本情報を書いてるだけで具合悪くなる。

 

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

 映画キャスト版の装丁でみると、右半分がいい奴で左半分がゴニョゴニョって感じ。誰に感情移入するかによって感想も違うんだろうけど、この佐藤健演じるタクトという男がまあわたしすぎて。

・コミュニケーション能力が高いわけではない。

・リアルでの関わりよりは匿名でのアカウントで持論を展開することに生き甲斐を見出している。

・リアルで会った人のアカウントをすぐ特定しようとする。

・人を小馬鹿にしている。

・誰に言うわけでもないが自分は観察眼が鋭いと思っている。

 

わたしかよ。

このタクトという男は@何者という名前で、鋭い( )視点のツイートをするアカウントを持っている。そこには就活仲間や、俺就活しねーしとか言ってクリエイター( )みたいなことをしている岡田将生をpgrしたpostをしまくっていて、それが岡田将生の彼女である就活全然上手くいってない二階堂ふみにバレてしまう。

そこからもう既にしんどいけど、何でふみにばれたかってタクトはESに書くようなPCアドレスで裏アカウントを取得していて更にアドレス検索設定OFFにしてないんだよ。馬鹿かよ。鍵無しの裏垢なんて捨てアドで作るのが鉄則だろうが。

裏垢っていうかリア垢でないアカウント、おたくならほぼ全員持ってるだろうしおたく用メイン垢の他に忍んで使っているアカウントがある人って少なくないと思う。わたしにとってははてなブログがそれに当たる。

なんていうのかな、自分のことを誰も知らない場所で持論を語るのって知り合いの目を一切気にしなくていいから楽なんだよね。これを書いたら変に思われるかないやな気持ちにさせるかなとかそういうしがらみがないから。

でもわかる人が読めばなんのことだか分かっちゃうし、特定の人を叩くという行為をワールドワイドウェブに公開されてる場でしちゃってることがもう幼稚だなあって思ってしまうよ。

これが鍵で誰にも見えていないんだったら何も問題もなかったのに、それが出来なかったタクトの自己顕示欲と承認欲求の強さが観ていてとにかくつらかった。

cocoloni.jp

 この連載が本当に本当に大好きで定期的に読み返しているけど、タクトとは逆の立場の人の投稿があった。これを読むと改めて匿名アカウントについて考えてしまうな。

誰も知らない自分になれていると錯覚しているとき、誰かがそれを見て笑っているかもしれない、傷ついているかもしれない、常にそれを考える"想像力"が必要で、想像力のない奴らが嫌いだって度々口に出していたタクトが実は一番想像力のない人間だったというオチが皮肉でよかった。

"深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ"ってこういう時の言葉なんだろうか。ちがう?

何者を観た前日がスカパーでねもしゅーの夢と希望の先をやっていた日で、彼氏へのプレゼンも兼ねてリアタイしての翌日何者読破しての映画だったのでさすがに精神的にも体力的にもしんどかった。 

 

何者の総合的な感想としては、映画と原作両方見るなら映画観た後に原作を読んだ方がいいし、原作ファンなら映画は別に観なくてもいいかなという感じです。

キャストは皆ハマリ役ばかりだけど心理描写とかやっぱり映像化では厳しい場面が結構あって、ここは入れて欲しかったなあと思うところも多々あった。逆に映画でよかったところは烏丸ギンジの劇団の雰囲気がかなり感じ取れる演出になっていたところ。わたしの無理なタイプの小劇団って感じで笑った。絶対つまんない。

辛い話なんだろうなっていう覚悟のもとダメージ負わないように心の準備をして観に行ったら思ったより大分ソフトな作りになっていたので少し拍子抜けだった。

原作のほうがしんどみがすごいです。

そんなかんじ。

 

おしまい。