クワガタとの歩み

アイドル・芸能人のブロググループに登録しておきながら今回のエントリでは今週のお題に乗っかって「飼ってる、飼ってた、飼ってみたい!」について書く。

自分で欲しくて買ってもらったのは小さい時に飼ってたハムスターと縁日の金魚くらいなんだけど、父の趣味でかれこれ15年ほど家にクワガタがいる。それも沢山。


我が家の家族構成は父母姉わたしの4人で、父以外は全員女。だから誰一人としてクワガタ育成に興味がないし、父も黙々と買ったり育てたりしてるだけで家族で話しているときに話題に上ることはほぼない。だから"飼ってる"というよりは"家にあるもの"という認識の方が正しいのかもしれない。

15年も家にあり続けるクワガタに関する知識がほぼ無いし興味もないからもし父が突然事故や病気で入院したり亡くなったりしたとしたら誰もクワガタの面倒をみてやれないのだ。

15年間でクワガタの生態に関する知識が養われることはなかったけど、クワガタ育成を趣味にしている人用の雑誌があったりお店があったり、そのカルチャー自体はわりと面白そうで結構興味深いのでどこにも需要がないであろう記事を書く。


父がよくクワガタ関係のものを買いに行くお店には、クワガタ以外にもカエルや外国のGとかバッタとか色々いて、結構面白いんだけどわたしは虫全般が苦手だからお店に付いていくことがあっても爬虫類コーナーしか見なかったし、最近はその店たちも閉店することが多いみたいで今では1店舗しか知らない。わたしは。

店がなくなる前はクワガタを育てて成虫をその店に置いてもらって売るっていうちょっとしたお小遣い稼ぎになってたみたいだけど、最近はそれもないから完全に趣味になってるらしい。関係ないけどたまに菌糸ビンから巨大なキノコが生えるからそれを家族でゲラゲラ笑いながら観察することはある。


で、面白いのが中野にむし社っていう会社があって、そこでは毎年正月にクワガタの入った福袋が売ってるの。父上は毎年それを買いに行ってて、過保護だから母も父にくっ付いて行ってて、今年わたしも中野行きたいって理由だけでくっ付いて行ったんだけど結構面白かった。

店舗自体はそんなに広くないんだけど所狭しとクワガタの入ったカゴとかゼリーが並んでいて、わりとお客さんも沢山いて。店員さんに若い女の人がいたのが印象的だった。カブトムシゆかりさんみたいに虫好きな女の人も結構いるものなのかななどと思ったりして。

出口には蛾の図鑑になってるカレンダーポスターがご自由にお取りくださいって置いてあった。どう考えてもいらないのにお母さんはせっかくだからとか言って2つくらい持って帰ってた。未だに家のどこにも貼ってない。

そんなわけで特に家族に迷惑をかけることもなく自分の趣味の範囲内でクワガタを育ててて、母もたまに協力っていう形で受け入れてるんだけど一度だけ事件があった。

それはわたしが小学3年生の時の話。

朝、支度を終えてランドセルを背負って靴を履こうとしたとき、何かがつかえていて靴に足が入らなかった。ガンガンやっても入らない。覗いて見ても暗くて何も見えなくて、手を突っ込んでみると、何だか手触りの良いツルツルした硬いものがすっぽり隙間なく入っていて全く取れなかった。わたしは靴をそれしか持っていなかったからそれを履かないと学校に行けないし、友達が家の前で待ってる。焦ったわたしはブンブン振ったり床に叩きつけたり引っ掻いたりして必死に掻き出そうとした。3分くらい格闘を続けたらポロっと黒い何かが出てきた。

察しはつくと思うけど、脱走したクワガタだった。メスの。わたしは靴をぶん投げて泣いた。メスのクワガタってツノは無いし、とりたてて特徴が無い。わたしはGかと思ったし靴から出てくるはずの無い物体が出てきてトラウマになった。散々突いたり掻き出そうともしていたわけだし。だけど靴にクワガタが入っていてショックだから学校休みますは当然母には通用しなくて、仕方なくその靴を履いて登校する羽目になった。

下校して父の帰りを待ち説教をして、それからクワガタを入れるケースの蓋が硬いものになった。靴の中に入っていたメスクワガタはピンピンしていたらしい。


15年近く共同生活をしてるけどクワガタの思い出って言ったらこのくらい。毎年夏に哀川翔が虫採りのロケをするバラエティーは家族で見てる。結構おもしろい。

それぐらい。わたしは猫を飼いたい。